繋ぎたくなる手、守りたくなる手。

彼と手をつなぐことが多い。家の中はもちろん、散歩中もずっと手を繋いでいる。
(デートスポットなど人が多い場所ではイチャイチャを慎む方だけれど)

手を繋いでいるときに、彼が「気持ちいいな」と思ってくれたら嬉しいから
ハンドケアを怠らない。今も寝る前の手ケアをして手袋をつけたけれど、
ケアをするたびに思い出すことがある。

実家の母が病で倒れ、四人兄弟のいちばん上の私が家事をすべてやっていた頃
手が荒れてしまった。ケアしても治らなくて
彼と手をつないでいる時も内心恥ずかしかった。
うつむきがちな私を見て彼が「最近、手が荒れてきちゃってるね」と一言。
私は以前、ぶしつけに女性の肌やコンプレックスを指摘するのが格好いいとでも思っている男を見たことがあって
その男は「自己管理しろよという意味で指摘してあげてる」とふんぞりかえっていた。
彼とその男は全然似ていないのだが、男の人にはそういう無神経さがあるんだなあと
ショックを受けながらも仕方ないと納得した。

その週の週末、彼が私の実家に遊びに来た。
もともと私の家族とは仲が良かったけれど、いつもは夕食に免れたら来るくらいだったのが
「午前中からでもいい？何の準備もしないでいいよ」と言って遊びに来た。
彼になついてる弟たちとひととおり挨拶と雑談をした後に、
「よし、俺は掃除と食器洗い担当するね！」と笑顔で言って、弟たちに色々と物の置き場を聞きながら始める。
自然と弟たちも手伝始めて、あっという間に終わった。
それ以来、弟たちも何も言わずに家事を手伝ってくれることが多くなり
私の負担はかなり減った。
手の荒れも治っていき、手を繋いだときに彼が
「あ、荒れがおさまったね。でも、あの時の手も好きだったよ。
頑張ってるなあ、と思って、守りたくなる手だ」
と言って、手にちゅっとキスをした。
感謝や嬉しさや愛しさや安心感で、ボロボロ泣いてしまった。
一時でも彼を疑ったり、見損なってしまった自分をすごく恥じた。
手のケアをしたり、手をつなぐたびに思い出す。
この先どんな手になっても繋がれているだろう、私と彼の絆だと思い
今は彼の手もいっしょにスキンケアしたりしている。

×免れた
○招かれた

眠気で誤字が。。彼の優しさに包まれながらおやすみなさいませ。