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「幸せが歩いてきた!」は8/1に移転いたしました。

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仕事を辞めて思い返す、友人のこと、部下のこと。

仕事を辞めて思うこと
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/news7/1329830819/


「仕事を辞めて思い返す、会社のこと、後輩のこと。」の続きです。

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60: 私事ですが名無しです 2012/02/26(日) 23:55:55.45 ID:pTDoosMV0

「君は誰かと仲良くなることができても、その人たちはきっと、すぐに君から離れていくよ」

彼は昔医者に言われたこの言葉が、ずっとトラウマになり、人間不信になっていた。

それを聞いた時、殺意の片鱗を、自分の中に確かに見つけた。
どこぞの馬の骨とも分からないやぶ医者の一言で、救われなかった命が、ここにある。
大げさだけどそんな感じだ。
ぶん殴ってやりたかった。なんならぶっ殺してやりたかった。
そして、悲しかった。

「じゃあ、俺たちも離れていくと思ってるの?」
「いやぁ、それは、分からないけど・・・」
とても悔しかった。





61: 私事ですが名無しです 2012/02/27(月) 00:02:55.34 ID:LRLTjXCq0

だから約束をした。
「じゃあ10年後、まだ俺らが繋がってたら、絶対メシおごれよ!」
「・・・ありがとうw」

他にも、「俺がお店出して、お前がホームレスだったら、清掃員として来てくれw」とかw
無茶苦茶な約束を、スナフキンと三人で、その夜は、沢山した。
絶対繋がっててやる、また、コイツとなら全然大丈夫だろうと、思っていた。

でも、やっぱり、人生は思い通りにいかない。
神様は、クソったれだ。


62: 私事ですが名無しです 2012/02/27(月) 00:10:39.06 ID:LRLTjXCq0

日付にして、3月12日。去年のこと。つまり、あの凄惨な大地震の翌日のことだ。
その日の朝、テレビをつけて、住んでいる場所的に全く影響のなかった俺は、本当に失礼ながら、そのニュースを傍観し、ため息をつく程度に、落ち込んだ。
「ひどいことが起こるもんだな。。」
なんて呑気に思いながら出勤し、仕事をしていた。

そしてその日の夜、事件は起こる。


63: 私事ですが名無しです 2012/02/27(月) 00:18:41.46 ID:LRLTjXCq0

突然の来訪者。夫婦が神妙な面持ちで、お店にやってきた。

「○○店長はいらっしゃいますか?」
「はい、私ですが・・・どうされましたか?」

あの時はクレームか何かだと思っていた。でも違った。
夫婦は切り出した。

「実は先日、○○(ニートの名前)が亡くなりました・・・いつも彼からお話を伺っていましたので、ご挨拶とご連絡を兼ねて、こちらに参りました・・・」

意味が分からなかった。

「はい?もう一度お願いできますか?」悪夢か、ドッキリか?いや何の悪い冗談だやめろと、頭の中がぐるぐる回り始めた。
聞き返さずにはいられなかった。

「はい、彼は先日、事故で亡くなりました・・・」

泣いた、膝から崩れ落ちた。店頭で、外聞もなく、泣き散らした、叫んだ。
まだ、意味が分からなかった。


64: 私事ですが名無しです 2012/02/27(月) 12:08:41.03 ID:???O

どんな事故だったん


65: 私事ですが名無しです 2012/02/27(月) 13:58:03.04 ID:LRLTjXCq0

>>64水難事故です。




66: 私事ですが名無しです 2012/03/04(日) 05:05:51.41 ID:6Tot4xxN0

久しぶりに続きでも書いてみる。

その後は、悲惨だった。とりあえず、仲の良かったメンバー全員に連絡をとった。
閉店後の店内で、みんなで泣いた。生気を完全に失った俺は先輩に送ってもらうことになった。
そしてスナフキンは、夜の街へ消えていった。

帰りの車の中で、相も変わらず泣き続ける俺のもとへ、一本の連絡が入る。

「店長!!助けてください!!・・スナフキンが・・・!!」

どうしたことかと、急いで引き返して、飲み屋街の近くまで向かった。
そこにいたのはオタクでイケメンな元スタッフだった。
そして、ゲロと血にまみれた服を着て、路上で倒れこむ、スナフキンの姿。
どうやら飲みすぎてしまったらしい。
「ニート!!ニート!!・・・ニートぉ・・・!!」
目をつむったまま、叫んだり、うなったりしている。口から血が、定期的に吐き出される。
完全にマロリーワイス症候群。


67: 私事ですが名無しです 2012/03/04(日) 05:14:47.51 ID:6Tot4xxN0

胸が痛かった。我慢していた悲しみを爆発させた彼の姿が、自分の傷をもえぐるように、同調してしまい、涙が止まらなかった。
先輩も、オタクも、誰もお互いを慰めたりしなかった。
咎めることのできない、悲しみの波に、みんな飲み込まれていた。

しかし、ずっとこうしているわけにもいかないので、俺は重い腰をあげて、行動を開始した。
2リットルの水のペットボトルをスナフキンに上からかけた。
「寒い!!冷たい!!寒い!!」連呼する彼。
適当に体を拭いて、先輩の車に乗せ、家まで送ることにした。
その社内で、あまりにもゲロや血を吐きまくるので、先輩と苦笑いしたw


72: 私事ですが名無しです 2012/03/06(火) 03:44:03.87 ID:4CQRczJK0

今思えば、あの時なんで救急車を呼ばなかったんだろうと思う。
全身gkbr状態だし、「寒い、寒い」と連呼していたし、マロリーワイス以前に、完全に急性アル。
スナフキンは市電に轢かれても死ななかった、という話を知っていたから、何故か大丈夫と思っていたんだろうかw

もしくは、その時は、「俺たち」が助けたかったのかもしれない。
助けられなかった、という自責の念が、脳裏によぎったのか。
大げさだが、何かを取り戻すように、必死になりたかったのか。
「もう誰も死んでほしくない」漫画のようなセリフ、こんな感情を抱くことになるなんて、誰も想像しなかったろうに。


76: 私事ですが名無しです 2012/03/07(水) 13:31:43.91 ID:6mBW7oxG0

その後、スナフキン宅に到着し、彼を運ぶ作業に移る。
自分で立つこと、動くこともままならない彼を運ぶのは、意外と至難の業だった。
体躯もしっかりしていたし、背もわりと高い。まるで大きな赤ちゃん。

先輩と二人で彼を布団にくるみ、半ば引きずるように、彼の部屋まで運んだ。
辛かったのは、彼の部屋が3階にあったということ。この金持ちめw
そして途中途中に吐血と嘔吐おし、「お母さんに怒られる、お母さんに怒られる・・・」とうめいていた。
何だかまた、コイツの背景が見えた気がして、少し切なかった。


77: 私事ですが名無しです 2012/03/07(水) 13:39:59.97 ID:6mBW7oxG0

「大丈夫だよ、全部キレイにしておくから」となだめて、落ち着かせた。
「ごめんなさい」と仕切りに彼はつぶやいた。

やっと部屋について、温かい服を着せて、布団をいっぱいかけて、蒸しタオルを当てたりしながら、眠らせた。
「なんでそんなに優しいんですか・・なんで・・・Zzz」とつぶやいていたっけ。
少し落ち着いてきたようなので、次のお仕事。
先輩の車をキレイにすること。これはすごかったw
後部座席に凄惨な景色が広がる。先輩と笑った。ニートの死を知って、初笑いだったかも。
「よっしゃ」と腕をまくり、トイレットペーパーとマジックリンみたいなスプレーで、一気に清掃作業を行った。
これが終わるころには、多分午前2時ぐらいになっていた。


78: 私事ですが名無しです 2012/03/07(水) 13:47:32.43 ID:6mBW7oxG0

その日は月がキレイで、タバコを吸いながら「ニートはこれを見てるんですかね」と先輩と哀悼に耽っていた。

「俺たちも寝ようか」
すっかり疲弊して、涙もいつのまにか枯れていて、今なら寝れる気がした。
「はい、戻りましょう」と俺は言い、彼の家の扉の暗証番号を押した。金持ちめw

3階のスナフキンの部屋まで帰ると、彼が部屋で、なんとウロウロフラフラとしている。
彼は部屋を手探りで、かき乱しながら、何かを探している。


79: 私事ですが名無しです 2012/03/07(水) 14:12:47.70 ID:6mBW7oxG0

と、帰ってきた俺たちに気付いた。正確には俺たちではないのだけど。

グラグラと狼狽した動きでこちらに歩いてくる。なんだ?と思った矢先、掴みかかられた。
「何で死んだんだよ!!なんで!!なんで・・・!!」完全に呆気にとられている俺。壁際まで押しつけられて痛かった。
「今からだったんじゃないのかよ・・・全部・・!!友達もやっと出来て・・・!!どうして?!行きつけのお店も飲み屋もさぁ!!これからなのに・・・!!何で!!何でなんだよ!!!!!」
声がでかい、ウルサイ。そして途中で気付いた。これは俺に言ってるんじゃない。

「何でお前が死ななきゃいけないの?!!俺でいいじゃん!!俺!!俺、俺!!俺で!!!ニート!!!なぁ、ニートぉ・・・!!」
泣いている。彼には俺がニートに見えているのか、そう思った。
すがるように、身を預けたりしては、襟首をつかんだまま、態勢をグラグラさせては持ち直している。
「おい・・・何か言えよ!!おい!おい!!なぁ!!なんなんだよ・・・!!!!」

正直、俺ももう限界だった。さっき枯れたと思っていた涙は、嘘のように溢れ出した。
俺は彼の垂れ下がった頭を両手で抱きしめた。
そして、自然と口をついて出た言葉。

「・・・ごめんね・・・」

もうこれ以上喋ることもままならない、ぐらい苦しかった。
スナフキンはまた、大声をあげて泣いていた。

神様なんかいない、くそったれだ。
その夜は今まで生きてきた中で、最も強く、そう思った。


80: 私事ですが名無しです 2012/03/07(水) 14:22:10.72 ID:6mBW7oxG0

結局そのあと、スナフキンは泣きながらゲロというか、もうすでに胃液のようなものをぶちまけ、先輩と俺に「おいw」と泣きながらつっこまれ、ベッドに強制送還してやった。
泣きつかれた子供みたいに、すぐに寝息を立てている。さっきのも起きていたのか疑わしいな、と思った。

アイツの最後のゲロと、俺と先輩の涙を拭いて、その日は終わった。
長い長い、最悪の夜だった。


86: 私事ですが名無しです 2012/03/08(木) 22:52:25.33 ID:z6fD3CW80

次の日からを思い出してみる。

翌日も、もちろんの如く仕事だった俺達は、朝ぎりぎりに起き、早々にスナフキン宅を出た。
というかすごいのがスナフキン。「お腹痛いです・・・」と言いながら普通に朝からパスタ食ってた。しかも自分で作ってw
やっぱこいつはすげーと思ったのを、よく覚えている。

そしてここからは、少しずつ、静かに、積もっていくような感覚の悲しみに襲われることになる。
これは至極当然のことなんだろうけど、何気ないふっとした瞬間に故人を思い出したり、まだ受け入れられない現実とのギャップというか、そこらじゅうにそんな要素がありふれていて、辛かった。


87: 私事ですが名無しです 2012/03/08(木) 23:09:28.73 ID:z6fD3CW80

閉店してからお店の扉を叩いたり、試着室にこもってみたり、服をだらだらと何時間もかけてみたり、そういうのはもう出来ないんだなっと、何度も思った。
釣りの話、熱帯魚の話、漫画の話、音楽の話・・・出来ないと分かった途端に湧き出てくる色んな願望が、みんなを苦しめた。
「あいつはいいやつだった・・・」とは、誰も言わなかった。

「あのクソ馬鹿野郎!!」と、みんな言っていた。

そこには、一生後悔し続ける、勝手に死んだ事を恨むようにして、覚えておくという、俺らだけの不思議な共通理念があった。
命の大切さを教えてくれただの、生きているうちに優しくしなきゃだの、アイツが死んで分かった、そんなのまるで死んでプラスになることがあった、なんてならないように「あいつの分まで頑張る」という類のセリフは、タブーだった。


88: 私事ですが名無しです 2012/03/08(木) 23:22:18.13 ID:z6fD3CW80

そういえば、事故について書いてなかったなぁ。

水難事故っていうのは、真夜中に釣りをしてる時に一人で海に落ちてしまったらしい。
場所は港で、彼が竿を投じていたのが結構な高さの場所。深さも十分にありそうな、ちょうど、足場が出っ張ったようなとこだった。

で、ここからがまた、悔しい話なんだけど、彼は、俺たちの為に魚を釣りに行っていたらしい。
これはご両親から聞いた話。
夜中にふっと起きて、彼は「出てくる」と急に釣りの準備をし出したらしい。
そして「恩を返したい人がいるんだ。大きいの釣って帰る」と。

俺、スナフキン、ニートの三人で、入り浸っていたバーがある。
そこは、バーと言っても名ばかりの、小汚い、廃れたクラブみたいなところで、営業時間も適当な、だらだらと過ごせる場所だった。


89: 私事ですが名無しです 2012/03/08(木) 23:33:13.85 ID:z6fD3CW80

そこでも色んなことがあった。
まずスナフキンが仕事掛け持ちで、そのバーで働き出したこと。俺たちは加速して通うようになった。
ニートがセクキャバ嬢に好かれて迫られてるのはおもしろかったなwしかも結構ガチw
あとはゲロもよく吐いた。喧嘩もあったし、ダーツの機会もあって、負けたらテキーラなんて遊びもしてたっけ。

で、とある日、ニートがバケツを持って来店してきた。
「何それ?!」ってオーナーとみんなでなって、盛り上がったな。
メバルを何匹か釣ってきてたと思う。魚は詳しくないので違うかも。
で、みんなで天ぷらで食べた。すごく、楽しかったし、そのはニートもみんなに「すごい」だの「ありがとう」だの言われて、まんざらでもなさそうだったな。



90: 私事ですが名無しです 2012/03/08(木) 23:40:46.18 ID:z6fD3CW80

きっと、あれをもう一度やりたかったんだろうと思う。
みんなをビックリさせてドヤ顔したかったんだろう。30代うつ病ニートのくせに。ほんと、カッコつけすぎだよバカ野郎、と思う。

本筋に戻る。
ニートの死亡宣告から一週間は、とりあえず毎日泣いていたと思う。
そして、3か月後くらいかな。ようやく気持ちが落ち着いて、ニートの実家に行くことにした。


92: 私事ですが名無しです 2012/03/09(金) 09:19:04.54 ID:9M+6Vx7bP

友情っていいな


93: 私事ですが名無しです 2012/03/09(金) 15:38:40.53 ID:???0

頑張って書ききってくれ


95: 私事ですが名無しです 2012/03/11(日) 04:30:06.18 ID:???0

一気に読んだ。
胸熱
続きたのむ


96: 私事ですが名無しです 2012/03/12(月) 08:21:51.78 ID:KIqdYjRsP

今日はニートの命日ですね。
彼の魂が安らかでありますように。


97: 私事ですが名無しです 2012/03/13(火) 01:15:14.36 ID:???0

>>96
水を指すようですが、数日前かと…


98: 私事ですが名無しです 2012/03/13(火) 14:02:48.14 ID:iw1pGWqBP

>>97
(//∇//)




101: 私事ですが名無しです 2012/03/14(水) 09:23:14.78 ID:Lf0k8KGD0

久しぶりに書きます。
お察しの通り、一周忌がございましたので、友人を募ってお酒を飲んだりしていました。
他にも結婚式があったりと多忙につき書けませんでした。遅くなってすみません。

お詫びにニート追悼飲みの時のウケた話w

withニートの写真で、先輩宅にて四人で飲んでたんだけど、いつも通り盛り上がっちゃって、みんなグイグイ飲んでた。
で、オタクが梅酒をストレートでイッキとかしだして、馬鹿だコイツーとかなってたら、数分後に潰れたw
ほっといて飲んでたら、起き上がって「ヤバイっす。マジヤバイっす」と言い出した。
「マジか!?じゃトイレいけ!はよはよ!!」
「動いたら・・・出ます・・・」
「ヤベえな!!ww誰かビニール袋!!ww」
とここで先輩がビニール袋をオタクの前に差し出す。口を押えていた手を放して、顔を近づける。

出るぞ・・出るぞ・・・とみんなが見守っている中嗚咽を数回繰り返してついに・・・!!

「ゲーーーフっ!!!ゲッp」と、でかいゲップが出た。ゲロは出ず。そしてオタク。
「あれ?なんかスッキリしましたww」
「おいおいなんだよー。人騒がせなー。」
みんなが安堵の表情に変わり、スナフキンが「ビックリさせんなやオタク!!」と言って頭を叩いた。
バシっ!!
テーブルに向かって「ゲロゲロゲロゲロレロエロうyびじょkp!!!!!」

みんなビビったwwそして笑い死んだww先輩も「ざけんなクズが!w」と言いながら空のビニール袋を手に、一連の流れに腹筋が崩壊していたw
後はもちろん仲良くお掃除しましたとさ。
頭にはゲロが出るスイッチがついているのかもしれない。みんなも気を付けて。


102: 私事ですが名無しです 2012/03/14(水) 09:37:32.58 ID:Lf0k8KGD0

本筋へ。ニートの実家に行った話。

彼の家は建設会社を営んでおり、祖父が創設したらしい。
彼の家から見える大きな山の形が、ある動物が居眠っている姿に見えることからちなんで、社名を戴冠した。
そのことを、いつもニートは、誇らしげに自慢していたなぁ。

そんな感じで、少し山奥にある家に、スナフキンと二人で行ってきた。
仏花やお供え物を買い、香典を包み、少し正装をして、準備した。
そういえばその時、スナフキンがあまりに葬祭に関しての知識が浅かったので驚いた。普段は博識で見聞も広いのに。
「その・・・あまり教えてもらったことがないので・・・すみません・・」
ちょっと申し訳なさそうに言うスナフキンが、子供みたいで可愛かったwいつも横柄だからw
また、家庭環境で色々と人ってあるんだなと、意味不明な感想を抱いた。


103: 私事ですが名無しです 2012/03/14(水) 09:50:23.35 ID:Lf0k8KGD0

家に到着して、インターホンを鳴らす。ピンポーン。
ニートによく似た、優しそうな、あの時の母親が出迎えてくれた。
深々と頭を下げて、「遠いところからわざわざありがとうございます・・・どうぞ中へ」と俺たちを誘ってくれる。
「ありがとうございます」と言い。客室へ連れて行かれた。

書いていなかったが、お店に出向いてくれた時、すでにニートの葬式は済まされており、その旨を俺たちは伝えられていた。
なので、まず、しめやかに行われた葬式の話を聞き、そこから亡くなった時の詳細を聞いたり、思い出話なんかを、四人で話した。

俺たちの知らないニートの話、また、胸が苦しくなった。
「家ではよく、お店で起きた出来事を、私たちに話してくれてたんですよ」
「これ、見て頂けますか・・・?」
取り出されたデジカメ。これはニートが生前「父親に借りた」と言って使ってた代物。
「自分で買えよそんぐらいw」と馬鹿にしてたのを思い出した。
そして、データの中身を見ることになる。


104: 私事ですが名無しです 2012/03/14(水) 09:56:40.35 ID:Lf0k8KGD0

彼は、俺たちの知らないところで、結構な写真を撮っていた。
俺のいたお店の風景や、そこでできた友達。みんなで行った海やバー。
たまに好きな魚や服、これは何だ?と思うような変なものまで。「アイツらしいな」と思える写真でいっぱいだった。

途中途中にふざけたムービーもあったりして、これ見られてんのかと思うと、少し赤面してしまいそうになった。
そして、「これが最後です」とご両親に言われ、デジカメを渡される。
最後のムービーを、見る。


105: 私事ですが名無しです 2012/03/14(水) 10:16:06.48 ID:Lf0k8KGD0

ジーーー・・・という電子音と共に、閉店後の店内が映し出される。撮影はニートのようだ。

「これが・・・○○(店の名前)だよ・・・分かる・・・?」
「ここで・・・いつも色んなことを・・・教えてもらってるんだ・・・」
「例えば・・・」
自分が見えるようにカメラを置く。
「服の畳み方とか・・・こんな風に・・・バシッ」服を広げて畳んで見せる。
「色々、整理したり・・・ガシャ」かけられたハンガーや靴を整えたりしている。
「手伝わせてもらって・・・役に立ってるんだ・・・」

俺たちは、閉店後に来るニートに、「暇ならお前も手伝え!w」などと言って、掃除や後片付け、雑用なんかをたまにやってもらい、「今日は生産的に生きたねw」とか言って茶化していた。
思い出していたら、なんだか涙ぐんでしまった。

「・・・いい商品も・・いっぱいあるよ・・・この小物とか・・・可愛いよ・・・」
「服も・・・ほら・・・これ、母さんも着れそうだよ・・・?」色々と物色する。
そして俺たち登場。
「これが・・・店長と・・・スナフキン・・・(手を振っている)」
「二人はいつも頑張って・・・過労で、休みがないんだ・・・」
ス「うるせーw何撮ってんだよw手伝えw」
俺「ニートのお母さんー。彼は頑張ってくれてますよー。友達もたくさんできましたー。(親指立ててる)」
ス「店長甘いっすよー」
俺「ほらお前も言えw」
ス「まぁ、頑張ってますよ。ありがとうございます。ニヤニヤ」
俺「こら、ニヤニヤすなw」


106: 私事ですが名無しです 2012/03/14(水) 10:25:17.42 ID:Lf0k8KGD0

ニ「こんな感じで・・・二人とも、いつも良くしてくれてる・・・w」
ス「真面目に言えこらーw」
俺「お前もじゃw」
このムービー残ってたのか。懐かしい。そしてすごく寂しい。そう思った。

後は全部ニート。
「いつも・・・迷惑かけてごめん・・・(違うだろ!!と遠くから俺たちの声)・・・あ、あぁ・・・いつも・・・ありがとう・・・」
ニートの顔が映る。
「いつか恩返し、するね・・・本当に、ありがとう・・・」
「良かったら、二人も来てみてね・・・!良いお店だから・・・じゃあね・・・!」
プチッ。ムービーが終わった。
スナフキンと母親が、泣いていた。


112: 私事ですが名無しです 2012/03/15(木) 22:30:21.00 ID:V7RMGWUE0

続き。

さっきのムービーで、一瞬にして悲しくなってしまった空気を取り繕うように、母親が言葉を発した。
「本当にいつも・・・ありがとうございました・・・」
俺たちは「いいえ、とんでもないです」とだけ言い、しばし、沈黙していた。

そこで俺は、自分もニートの生前の写真を持って来ているのを思い出し、カバンから取り出した。
デジカメで撮った一枚と、フィルムカメラで撮った一枚。両方とも元のデータやネガが無く、現実的に最後の一枚であるそれぞれを、差し出した。
本当は持っていたかったが、俺たちよりもご両親が持っていたほうが、何となく良いと思えて、渡すことにした。

そこには満面の笑顔で写るニートの顔。
「ありがとう、ありがとう・・・」と言ってすすり泣く母親。
そして、にこやかではあったが、終始相槌にとどまっていた父親が話し出した。


113: 私事ですが名無しです 2012/03/15(木) 22:43:29.54 ID:V7RMGWUE0

「本当は、私たちが先に逝くはずだったんだけどねぇ。本当に親不孝者で、参ったよ」
「昔からほとんどのことがうまくいかなくて。何かやる度に自信を無くして・・・妹もいて、負い目なんかもあったんだろう。中々大変だったと思うんだ」
「それでも、生きていてくれたから、よかった。私たちには優しい子だったし・・・デキの良い不良って言うのかな。不思議な子でしょう」

多分こんな感じだった思う。自分を諭しなだめながら、滔々とつぶやいていた。

「あ、あとこれ・・・」
と言って、紙袋を二つ、と「ごあいさつ」と書かれた手紙を二つ、父親が俺たちに渡してきた。それはニートの葬式の時に配られる引き出物だった。
参列していない俺たちに、わざわざとっておいてくれたみたいだ。
「ありがとうございます」と丁重に受け取った。そして手紙を開いてみた。


114: 私事ですが名無しです 2012/03/15(木) 22:52:35.48 ID:V7RMGWUE0

お決まりの句が謳われた後、驚いた。個人的なものだけど。
参列者全員に配られるであろうこの紙に、俺のお店の名前と、俺たちのことと、俺たちと仲良くなったことが、書かれていた。
よほど小規模な式だったんだとか、そういうことじゃなくて、何というか、ニートの名前と、俺と、店と、スナフキンとの名前が同じ場所に連なってるっていうのが、苦しくて。
葬儀ご案内の言葉や、常套句と、俺たちの名前から、一気に現実味が増してきて、「いなくなっちゃったんだなぁ」じゃなくて、「ずっと一緒にいたんだなぁ」っていう再認識みたいな感じで。
余計に、辛かった。
戻れない日のことを思うのが、こんなに辛いとは。らしくもない。


115: 私事ですが名無しです 2012/03/15(木) 23:01:35.50 ID:V7RMGWUE0

俺も我慢できなくて、歯を食いしばりながら泣いてた。我慢したかったんだけど。

父親も少し泣いていたようだったけど、俺たちに気を使って、ニートのバカ話に、急にシフトチェンジしやがったw
俺たちもちゃんとそれに便乗して、最後の方は、なるべく明るく努めた。

そして最後に父親が言った。
「君たちみたいな人がいて、本当に良かった。本当はもう少しだけ、ニートの先を見てみたかった。しかし、あまり故人を縛り付けるのも良くないから、納得しているつりだ」
「お願いだから、彼のことを、忘れないでやってくれ・・・宜しくお願いします」
恥ずかしいのか泣きそうなのか、赤ら顔でニッと笑って、お願いしてくれた。

「もちろんです!」スナフキンも俺も、大きな声で、頭を下げて了解した。


116: 私事ですが名無しです 2012/03/15(木) 23:12:12.36 ID:V7RMGWUE0

そうこうして、おいとますることになった。
「今日はどうも、ありがとうね。またいつでも、遊びにおいでね」
ご両親はそう逝って、俺たちを送り出した。

帰り道は生憎の雨だった。
スナフキンと相合傘しながら車に向かう。
「・・・こっからですよね」とスナフキンが言った。
「・・・こっからだな、うん」と返した。

やっとニートの死と、ちゃんと向き合えたような気がした一日。
そっからはぶっ飛ばして帰って、飯食いに行きましたとさ。大体こんな感じで、一連の流れは終わりです。

また下らない、思い出話をだらだら行きますw


118: 私事ですが名無しです 2012/03/16(金) 00:16:03.81 ID:RAi4RNBf0

追いついた
心に沁みる話だ


119: 私事ですが名無しです 2012/03/16(金) 09:29:14.91 ID:czavoSnuP

また泣いてしまった。

でも>>1さん、カメラ屋さんで写真から写真にもできるんだよ。
ダイレクトっていったと思う。
“引き出物”には突っ込まないでおくw


120: 私事ですが名無しです 2012/03/16(金) 13:13:17.64 ID:jKhCMs200

>>118ありがたい。感謝です。

>>119あら、何だか恥ずかしいw勉強になります。ありがとうございます。優しい人や


121: 私事ですが名無しです 2012/03/20(火) 21:54:12.22 ID:wcsgZ9HV0

やっと追いついた。

濃いね。
読んでて心が揺さぶられた。

まだ思い出話が続くってことは、仕事辞めた理由ってのはこれから後で出てくるのかな?
急かすつもりではないのでゆっくり語っていってください。


122: 私事ですが名無しです 2012/03/23(金) 02:24:52.23 ID:kYyfvj010

>>121 返事遅くなりました。支援ありがとうございます。ゆっくり書いていきますね。本当にありがとう!




125: 私事ですが名無しです 2012/03/28(水) 23:33:06.10 ID:I43NhlXC0

久々に思い出したことでも書いてみます。

ちょっとお客さんから離れて会社の話でもしてみようかな。
うちはすんげーブラックだった。休みも基本週に1日しかないし、その希望も出せない。おまけにイベント時期になれば、連勤も当たり前。
最高記録は28連勤w最後の方は出勤時に「ただいまーw」とか言ってスタッフ同士でふざけてたw
で、またそれに対して手当が寸志でも出れば文句はないんだけど、一文たりとも出してはくれなかった。
まさに搾取。奴隷のような社員たち。慣れっていうのは怖いもので、それでも何とかやれてしまうから、いけない。


126: 私事ですが名無しです 2012/03/28(水) 23:42:16.93 ID:I43NhlXC0

極めつけは社長。本当に恐ろしい存在だった。チキンな俺には殊更に。

ある日の電話。
社「今日の来客はどうだ?忙しいか?」
俺「・・・普通ぐらいですね・・・」(多いとも少ないとも言えないそんな日だった)
社「あ?何だと?普通ってなんや!!!!お前の普通がワシの普通だと思うなよあぁヴォケグォウラァ!!!!!」
俺「!!!!?!!?!す、すみません!!!!」
社「お前中心に考えてんじゃねーぞボケコラカス氏ねくぁwせdrftgyふじこl!!」
俺「はい・・・(´;ω;`)ショボン」

みたいなこともあったw本当になぜ怒られたか分からなかったw


127: 私事ですが名無しです 2012/03/28(水) 23:53:27.91 ID:I43NhlXC0

面白い法則がある。社長は運転中に電話をかけてくることがあるんだけど、その時は特に怒気が上がるw
おまけに強風と大声による音割れで、何を言っているのか一切分からないことがある。

プルルルルルル、ガチャ。
俺「お疲れ様です。俺です。」
社「おtfかれfrtg!!お前あのくぁwせdガガガ!!wせdrft!!」
俺「・・・は、はい!!(怒られている!?(´・ω・`))」
社「展示会あqwせdrfゴゴガゴでrft!!!!!ふざけえrdfxvcfザガザザァアアア!!!!
俺「・・・すみません聞こえづらいです!もしもし!もう一度お願いします!!」
社「何がいじゅhygt!グラアアギャガかyふ!!!!」
俺「・・・はい、すみません(もういいや(´;ω;`))」

みたいなw正社員なら、必ず一度は経験する話w


128: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:12:15.21 ID:Gei8fkx20

スタッフにも色々いた。5年勤めている間、新入社員も何度か入ってきたけど、みんなすぐに辞めていった。
だから俺の周りは先輩ばかりで、しかも変人ばっかりだった。まぁ、良い人なんだけどw

スーパー高学歴の鬼先輩。サッカーしか興味のないサッカー先輩。不倫経験のある美人な倉庫スタッフ。

語りつくせないほど、色々あったなぁ。


129: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:13:12.46 ID:hqbh9695I

>>1おかえりー!!

28連勤は鬼畜すぐるな訴えていいレベル
よく耐えたな…。


130: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:17:06.50 ID:Gei8fkx20

>>129 ただいまー!!ですよねw俺を繋ぎ止めていたのは、本当にお客さん達だけだ(´・ω・`)


131: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:24:50.37 ID:tuJTrgsYP

ところで1がその仕事やめたきっかけは??
今1は何してるん?


133: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:33:15.80 ID:Gei8fkx20

>>131 きっかけは、色々なことが合わさってという感じで、これ!って言うわけではないんです。また書きますね。すみません。
今は絶賛ニート中ですwそろそろ就活しようかな!


132: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:29:29.88 ID:Gei8fkx20

アルバイト君も色々いた。結構前に書いてるけど、書いてないやつも書いてみよう。

自称レペゼン○○(某県名)ヒップホッパー。背も高くて、古着が好き。繊細で気弱なんだけど狡猾な部分もあって、憎たらしいやつだった。
就職した現在は、職業何?と聞かれた時に、「ラッパー」と必ず答えるようにしているらしいw

ラッパー君はその名の通り音楽好きで、気分のいい時はノリノリ。
お店で流す音楽は、俺がいつもipodで流してたんだけど、気にいると、「ヒェア」とか「um、um」とか、文字に起こすのが難しいような合いの手を打っていたw


134: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:38:53.29 ID:Gei8fkx20

そんな彼との一番の思い出は、まずは恋愛かなぁ。
彼はいわゆる恋愛不器用で、メールが下手だったので、紹介されても中々うまくいかなかった。
で、「こんな風に送ったらいいよ」とか、「こんなタイミングで送ったらいいよ」とか、偉そうに教えてあげたw別に俺がうまいんじゃなくて、あまりにも変なメールを送ろうとするからw

そしたらうまくいって、彼女できちゃて、「店長マジリスペクトっす!!」みたいな感じに。もうね、可愛かったよホント。


135: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 00:49:47.14 ID:Gei8fkx20

結局実際に会ってボロが出て、割と早く振られちゃって、「俺、薄っぺらい人間すわ・・・」とか言い出したので、実践編を教えるようになる。
これも聞いてたら、彼の行動があまりにもおかしかったからw
今は彼曰く「店長のメール術とデート術で彼女できました!ヒェア!!」とかなんとかw
うまくいって欲しいなあ。


136: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 01:04:27.44 ID:Gei8fkx20

彼の思い出ですごい印象的なのが、俺のミスを進んで被ってくれたこと。
正月の繁忙期に起こった。
うちの店には防犯タグがついてるんだけど、何と俺がレジを打つ時に外し忘れてしまった。
しかも何らかの誤動作か、聞き逃しか、入り口で防犯ブザーの音を、誰も聞いていなかったため、そのままお客様が商品を持ち出してしまった。
そしてクレームの電話が入る。

「お宅の外し忘れた防犯が他店で鳴って大恥かいた!どうしてくれるんだ!」こんな感じ。

正直忙しくて誰がやったかもみんな分からず、とりあえずお詫びを、ということに。
すると「責任者自宅まで来いオラ!」みたいな感じに。
じゃあ俺行ってくるわwみたいな流れだった時に、名乗り出たラッパー。
ラ「俺、接客したかもしれません。俺が行ってきます」
俺「いや、責任者って言ってるから、大丈夫、俺が行くよ」
ラ「店長、顧客が沢山待ってますよ。(チラッ)俺のミスだと思うんで、自分でやります」
この時期は帰省してくる人も多く、朝から晩まで顧客につくなんてことも多い。
俺「・・・分かった。誠意ある対応で頼むぞ」
ラ「行ってきます」

顧客や友達に「ラッパー君大変だねぇ」「頑張ってこいよーw」とか冷やかされながら、彼は出て行った。


137: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 01:13:18.39 ID:Gei8fkx20

で、閉店後に帰ってきて、「どうだった?」と聞くと、「しっかり説教されてきましたw」と、おどけた笑顔で話してくれた。
そして一息、間を置いて、言った。
「あれ、店長が接客した人ですよw」俺、凍りつく。「・・・へ?・・・えぇ!?」
冷笑を浮かべるラッパー。「ヒェア」とか言ってる。
「冗談抜き?」と聞くと「ノダゥ(No doubt)」と返事をした。そして、謝りまくったw
詳細を聞くと、どうやら間違いなさそうで、俺もだんだんそんな気がしてきて、死にたかったw
ごめんなさいと何回言っただろうか。いやぁ、今思い出しても恥ずかしい。部下に罪をなすりつける店長inアパレル。


138: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 01:16:42.62 ID:Gei8fkx20

彼が言うには、「店長って正社員だし、体裁とかもあるし、俺バイトじゃないすか。お客様も待ってたし、いいんすよ」とのこと。
もういいヤツすぎて、頭が上がらなかった。
最後に「俺、かっこいいっすか?」と笑顔で聞かれた時は、キュン死しそうな気さえしたw
ありがとう。ほんとにありがとう。と今も思う。



139: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 01:51:54.48 ID:???P

同じ接客販売をしている者から質問なんだけど、
売上は上げたいけど、ガメツイとか思われたくないし
そう思われたら来てくれなくなるだろうし、
それ以上に、その人に申し訳ないと思ってしまうことってなかったですか?
どうしても悪い気がしてなかなか難しい…


140: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 02:05:15.58 ID:Gei8fkx20

>>139 すごく分かりますよ!まだ距離のあるお客様の場合、特に難しいですよね。仲良ければ、「買えよオラーw」なんて冗談でもオススメできますが。
俺の場合、接客の合間に「今日のご予算はおいくらぐらいですか?」とさりげなく聞いていました。そしてその時の返答に応じて、接客を変えていた、と思います。
優しいあなたを応援しています!!


142: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 07:55:08.66 ID:???P

>>140
ありがとう。あとは1の人徳ってやつか。
続き待ってるよ


143: 私事ですが名無しです 2012/03/30(金) 10:44:32.42 ID:/y03jLOg0

>>142俺には勿体ない言葉や。ありがとう!


141: 私事ですが名無しです 2012/03/29(木) 07:15:00.41 ID:???0

続きまってますよ


144: 私事ですが名無しです 2012/03/31(土) 15:28:33.27 ID:???P

続き待ち




145: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 11:21:20.03 ID:v2J7ER0J0

>>144 ありがとう!今就活頑張ってますwまた書きますので、少々お待ちを。


146: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 20:14:56.24 ID:v2J7ER0J0

また書いてみます。今日はなんだかブルーな気分。

俺が最後に教えたアルバイト君の話でもしてみようかな。そんな大した話じゃないんだけど。

彼がバイトで入社した時は19歳の専門学校生だったかな?見た目は、体が大きくて、高校でラグビーやってたらしい。割と背が高い。
でも、性格は女々しいというか、消極的というかw弱い子w顔もカッコいいと思われるだけに、勿体ない子。

初めは、他の店舗に配属されていて、中々話す機会がなかったけど、人事異動で途中からうちに配属されてきた。


147: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 20:21:14.57 ID:v2J7ER0J0

お喋りは大好きみたいで、よくしょーもない話をされてたなぁ。

「店長、猫好きですか?」
「まぁ、犬よりは猫がいいかな?」
「鍋に入ってる猫って可愛いですよね」
「何の話?w」
「知らないんですか?・・・ほらコレ(鍋に猫が詰まってる画像)」
「わぁ、可愛いw」
「でしょう(`・ω・´)」
「仕事しろw」


148: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 20:28:08.81 ID:v2J7ER0J0

あと、お腹がすごく弱い子だったなw

ある忙しい日のこと。夕方ぐらい。
「店長、お腹空きました」
「今日は忙しかったからなぁ。じゃあパンでも買っておいで」
「やった!すぐ戻ります!」
ドタタタタタ・・・・・
「おにぎりにしました!(`・ω・´)」
「そうw裏でサクッと食べておいで」
「はーい」モグモグモグ・・・・・
「終わりました!ありがとうございます!」
「はいはい、じゃあしっかり働こうねー」
「店長!!」
「次は何?w」
「お腹痛いです(´;ω;`)」
「おいてめぇw」そしてトイレへ・・・

この下り、何十回やっただろうかw大食いなのにすぐ腹を壊すという恐ろしい矛盾を彼は抱えていた。



149: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 20:44:17.56 ID:v2J7ER0J0

あとは、そうそう、彼は前述の通りラグビーやってて、力持ちなんだけど、力仕事を嫌がる。
汗かきっていうのもあったのかもしれないけど、本当に嫌がっていた。

スペックを晒してなかったが、俺は華奢で、背も170無いぐらい。お世辞にも男らしい体つきとは言えない。
週末なんかは集荷があって荷物届いたり出したりするんだけど、彼はこっそり軽い荷物をいつも持っていたw

「荷物届いたぞ。このパッキンは全部裏に。そっちは通販だから全部入り口まで頼む」
「えー」
「えーじゃない。ホラやるぞ」
ヒョイ、ヒョイ、ヒョイ、ヒョイ(軽いのばっかり持ってく)
「おい、お前軽いのばっかり選んでないか?」
「さすが店長!力持ちデスネ!!」
「喧嘩売ってんのかてめぇw」

傍から見ても、それ持つ人逆だろう、ということは、よくあったw
コイツも所謂、憎めない系のキャラだったんだと思う。


150: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 20:53:15.26 ID:v2J7ER0J0

ラグビーの彼女がそういえば、可愛い子だったなぁ。
細くて小さくて、童顔というか、変態の人にはどストライクだろうなという顔つき。
服装もスカート多くて、エロカワ系だったと思う。

二人は遠距離恋愛で、ラグビーが今一人暮らし。基本うちの店がある街で会うことが多かったみたい。
だから、よくお店に連れてきてくれていた。



151: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 20:57:40.36 ID:v2J7ER0J0

俺は、もちろん親心で、イジっていた。そう、決して疾しい気持ちなど微塵もない。
可愛いラグビーの彼女なんだから、俺も仲良くしてあげようと思って。
そして出会う度に、「匂い嗅がせてや」という発言をするようになった。

俺が変態に認定されるのに、そう時間はかからなかった。


152: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 21:10:27.57 ID:v2J7ER0J0

ラグビーはあと、カラオケが好きだったなぁ。青臭い青春ソングが好きで、175Rの空に唄えばでよく叫んでた。

カラオケにいくメンツは大体決まってて、客のやっさんって人と、俺とラグビーの三人。終わったらみんなでドライブ。
夜景だの海だの、色々行って、締めでレッドブル飲むなんて、青春ごっこをよくしてたっけ。


153: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 21:18:30.54 ID:v2J7ER0J0

そうこうして、仲良くなっていって、彼が専門の2年生になる。もちろんの如く、就職が待っている。
彼はファッション系の専門だったんだけど、実家が農家で、卒業したら帰ろうかなんて、そんなことを漏らしていた。
が、しかし、

「店長、俺、アパレル受けることにしました」
「おお!突然どうしたの!」
「一応親の金で専門行ってますし・・・やっぱり生かさないと、申し訳ないかなって」
「偉い偉い。しっかり頑張るんだよ。で、どこ受けるの?まさかうち?w」
「それだけは無理ですw○○って会社ですよ」
そこはパルコとかにも入ってる、結構な大手だった。
「おおー。まぁ人はどこも足りてないし、イケると思う。応援しているよ」
「ありがとうございます!」

自分がやりたいと思って飛び込んだ業界に、同じようにやりたいと思って来てくれるって、かなり嬉しかった。
素直に頑張れって思えた。

それから、スナフキンと俺による、ラグビー合格大作戦が始まるw


154: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 21:23:50.15 ID:v2J7ER0J0

まずは服を改造してやった。面接当日は、二人で服を与えて、オシャレ且つその企業のショップに見合った服装をこしらえた。

やたらと詳しいスナフキンが、
「これは70年代のUSNAVYがモチーフのうんたらかんら・・・」
「で、この針のディティールがあーだこーだ・・・」
「ホニャララいんすぱいあモチーフこーで日本語でおk」
「これを言えば完璧だ」
などと抜かしていた。

俺とラグビーは「そこまで説明する必要はないだろう」とお互い思ったw


155: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 21:28:01.32 ID:v2J7ER0J0

そして質疑応答対策。すでにその会社の系列店で働いている友達がいたので、どんな感じか聞いてみたり。
大嫌いな社長と話す機会があった時、面接でどんなことを言ったら印象が良いかなんてのも、さりげなく聞いてみた。

そして、書類選考、一次面接、二次面接とあって、見事内定。

想像よりもあっけなく、ラグビーの就職が決まった。


156: 私事ですが名無しです 2012/04/05(木) 21:33:18.73 ID:v2J7ER0J0

大作戦とか言ったわりに、大したことも起こらず、平和に終わったw
「マジで色々ありがとうございました!」
と言ってくれて、応援した俺たちも満足。幸せ気分だった。

で、意外と研修?とかって早いもので、突然、ラグビーはうちを辞めることになった。
入社して一年半、早いような結構一緒にいたような、変な感じだった。
彼曰く「学生のうちから○○でバイトとして慣らして、春から社員として働くみたいです」
ということだった。


160: 私事ですが名無しです 2012/04/11(水) 23:29:57.51 ID:5Bmn1Yqh0

とりあえず面接2社受けて落ちてきましたw転職ってやっぱ厳しいのね。

そのあとは、まずは彼が辞める前に、いつもの三人メンバーで、ひっそり送迎会をやった日の話。

いつものように、メシ→カラオケ→ドライブの流れで遊んだ。運転はやっさという天然キャラの超巨人。めちゃくちゃ背が高い。
俺の家まで送ってくれる、兼ドライブということで車は出発。田舎に住んでたから結構距離がある。
で、思い出話に花を咲かせる。あんなことーこんなことーあーったーでしょー♪という感じ。


161: 私事ですが名無しです 2012/04/11(水) 23:36:03.09 ID:5Bmn1Yqh0

そして、我が家の近くまで来たところで、急に別れが惜しくなったのか、やっさんが違う道を走り出す。
「店長こっち行ったらどうなるんすか?」
「田舎だから何にもないよwつか明かりもないから怖いと思うぞw」
「行きましょ行きましょwフヒヒww」

そうして肝試し的な乗りに。実際心霊スポットでもなんでもないんだけどねwただひたすら草木が生い茂る、明かりのない、山に囲まれた盆地にたどり着いた。
そこは工場か何かが隣接した広場で、遊具はないが、ベンチやトイレはある、真っ暗な広場。
案の定、トイレの写真を順番に撮ってくる、なんて遊びをしようということになる。
まぁ心霊スポットでもなんでもないのを知ってる俺からしたら、わけもないことw
二人は結構怖がってたがw


162: 私事ですが名無しです 2012/04/11(水) 23:41:47.75 ID:5Bmn1Yqh0

まずは俺から、サクッと行ってサクッと写メって帰還。
「早くないすか?」
「怖かったから走ったんですねわかりますw」
「うるせぇちげぇよw」
そんな会話をする。

次はラグビーの番。「全然怖くないっすよ」とか言いつつも、周りをきょろきょろしながら、ゆっくりと旅立っていった。
待ってる間、一番ビビッてるやっさんに「もし帰ってこんかったらどうする・・・?」「・・・何か遅くない・・・?」
と不安を煽って遊んでたw
「やめてくださいー!」と彼は震えていたw


163: 私事ですが名無しです 2012/04/11(水) 23:51:24.72 ID:5Bmn1Yqh0

で、結局何事もなくラグビー帰還。最後はビビりのやっさんの番。
「何か変な音するから・・・気を付けてね・・・」
「一番奥のトイレ・・・上見たらだめだよ・・・」と煽ってみたりw

「ちくしょおおおおー!!」と叫びながら出発するやっさん。車のドアをバンッと閉める。
歩き出すやっさんを車内から見送る俺達。

と、ここでラグビーがおもむろに話し出した。
「店長、ちょっといいですか?」


164: 私事ですが名無しです 2012/04/11(水) 23:58:22.84 ID:5Bmn1Yqh0

何も考えてない俺はもちろん「ん?いいよ?なんだい?」と答える。

「辞める前に、話しておきたいことがあるんです」ときた。
急にあらたまるもんだから何かと思った。
「実はずっと隠していたことがあって・・・」
「何なに急に?まさか内定取り消し?」
「違いますw俺の体のことなんです」
はて、なんだろうか。皆目見当がつかなかった。

「実は俺、左肩に変な腫瘍があるんです」
「・・・は?」
「先天性のもので、昔からあるんですが、ラグビーも実はそれで辞めたんです」
「そうなんだ・・・」
書いてなかったけど、彼は高校の途中でラグビー部を中退していた。
初めは彼の性格からして、キツイからやめたーとか、そんなとこだろうと思っていたけど、違った。
彼はラグビーというかスポーツが大好きで、それまでずっと、医者の反対を押し切って、続けていたらしい。
そんな最中、ラグビー試合中に事件は起こったのだと。


165: 私事ですが名無しです 2012/04/12(木) 00:05:03.19 ID:VnuysolD0

彼は校内で練習試合中、激しいタックルを喰らい、その場で泡を吹いて倒れた。
白目を剥いて体が痙攣しているから、もちろんの如く救急車で運ばれた。
そして意識が戻って医者に言われたセリフが、「腫瘍が大きくなっている、このまま続けるのは危険だ」だという。
小さい頃から付き合ってきて、もう大丈夫だろうと思っていた矢先の出来事だと、彼は言った。
その日は、泣き明かしたらしい。

確かに、彼が行っていた高校は、ラグビーが強い高校で、全国優勝もするようなところだった。
それは残念だろう。嫌になって辞めるのとは、わけが違う。俺は胸がいっぱいになった。


166: 私事ですが名無しです 2012/04/12(木) 00:12:37.94 ID:VnuysolD0

そこからの彼の生活を、彼は簡単に説明しだした。
同情されるのが嫌で、病気のことはみんなに話さなかったこと。
突然辞めて、仲間から根性なしの烙印を押されたこと。
そこから性格がひねくれて、色んなことに消極的になっていったこと。などなど。

「辛かったね・・」ぐらいしかかける言葉が見当たらなかった。
「いえ、それより迷惑かけちゃったなってw俺、力仕事全然しなかったでしょwこんな見た目なのにw」
彼はおどけてそう言った。
「あと、ひねくれててすみません。沢山甘やかしてもらって感謝しています」
「いいよ、全然。気にすんなバーロー!ガハハ」と言いつつ半泣きだった。

彼は続けた。「それと、もうひとつ」


167: 私事ですが名無しです 2012/04/12(木) 00:27:30.74 ID:VnuysolD0

「俺、アパレルに就職しようと思ったの、店長がいたからなんです」
驚いた。

「え・・・」
「本当は実家に帰る気満々だったんだすけど・・・専門もバカなとこで普通の会社なんか行けないし・・・本当は誰でも入れるからって理由で、逃げ道のつもりで、今の専門に入学したんです。」
「そうだったんだ・・・」
「でも、この業界に入ってみようって、店長のおかげで思えました。俺も顧客いっぱい作って、こんな風に遊んでみたいですw」
「少し動機が不純だなwでも嬉しい・・・!そんな風に思ってくれてありがとう。頑張れよ!」
こんなに持ち上げられること普段なかなか無いので、返しに困ったが、こんな感じのやり取りで、話はまとまった。
半泣きなラグビーを見て「なんでお前が泣いてんだよw」と突っ込む。
「お腹痛いです(´・ω・`)」
「ならトイレ行ってこいw」
「わかりました!!!」
と言って、自分で告白しといて恥ずかしいのか外に飛び出していったw


168: 私事ですが名無しです 2012/04/12(木) 00:30:50.96 ID:VnuysolD0

そして外から「うおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」という叫び声と「いぎゃああああああぁぁぁぁ!!!!!!」という叫び声が聞こえてきたのは、言うまでもないことw
ちょうどやっさんが帰ってくるぐらいだったもんなwと、社内で一人ほくそえんでいたw
とりあえず送迎会篇はこんな感じだったな。あーいい思い出。ほっこり


169: 私事ですが名無しです 2012/04/12(木) 05:59:06.07 ID:NTwITiMh0

>>168
叫び声www

ひとりひとりに人生のドラマがあるんやね。


170: 私事ですが名無しです 2012/04/12(木) 09:39:49.42 ID:???P

読みごたえあるなぁ


171: 私事ですが名無しです 2012/04/13(金) 10:28:47.44 ID:7mhqAZ/rP

このスレの大ファンですage


172: 私事ですが名無しです 2012/04/13(金) 16:40:55.18 ID:ZVL+HtJbi

なんかすげー感動した
>>1の人徳だね
いい仲間に恵まれてて羨ましい

続きが気になるw


173: 私事ですが名無しです 2012/04/13(金) 20:49:12.40 ID:???0

良い仲間とお客様に恵まれても辞めざるを得ないくらいの
DQN会社だったって事なのかね・・・。

早く良い就職先見つかるといいね。


174: 私事ですが名無しです 2012/04/13(金) 21:26:52.63 ID:b+m86tdwi

いい話
続き書いてけろ


176: 私事ですが名無しです 2012/04/14(土) 15:08:53.07 ID:0dEU75aF0

>>169 コントみたいだったよw似ているようで、どこか違うから良いんだよね。

>>170 読んでくれてありがとうね。

>>171 なんと!ありがとうございます!

>>172 恐れ多いです!ありがとうございます!少々お待ちを。

>>173 正解ですwそこらへんもおいおい書きますね。ありがとう!

>>174 ありがとうけろ。また書くケロケロー。


178: 私事ですが名無しです 2012/04/16(月) 13:49:06.51 ID:llbXdgWZO

いいなぁ、男の友情。

楽しそう。





続きます。
8月1日に移転しました!

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